被災者の入居募集をしている「家の上」の町営住宅を見に行ってきた
ひとつ前の記事でお伝えした町営住宅や復興住宅の件に関して、新しいことが分かったので、改めてお伝えする。
昨日、被災者向けの入居募集がかかった「家の上」地区の町営住宅を見に行ってきた。
募集が出された4軒のうちの2軒は、役場のホームページにも載っている通りのだいぶ古い感じの、既存の町営住宅である。
こちらは、手続きが済み次第、即入居が可能ということである。
古い町営住宅でも2軒空きが出て、被災者に募集がかかった |
あとの2軒は、現場を見に行って初めて気がついたのだが、現在建設中の新しい住宅である。
新築の物件だけあって、安いとは言え上記の古い町営住宅と比べると、家賃も倍くらいするし、まだ建設中なので、入居開始は6月からになっている。
実は、この新しい住宅に関しては、被災時に既に建設中だったため、「なぜあの新しい住宅に、被災者を住ませてやらないのか??」という声もあがっていた。
ただ・・・そうは言っても、大昇地区にある古い町営住宅を取り壊してそこの住人が入居することが決まっていたため、被災者を入れる枠がない・・・という話を聞いていたのだが、何とか2軒分は被災者用に確保してくれたらしい。
ありがたいことである。
下の写真の通り、ピカピカの快適そうな建物なので、これはきっと申し込みが殺到するのではないだろうか。
この1棟で、家族向けの部屋が1〜2階合わせて全部で10室ある。
建設中の町営住宅・家の上団地 |
全部で10軒分の居住スペースがある |
復興住宅もすぐ隣に建設予定だった!!
ところで、現地に行ってみて気がついたことが他にもあって、まず、この新しい町営団地を建設しているすぐ隣にも、まだ空いている敷地がある・・・ということだ。
以前から、町役場が「家の上団地に、復興町営住宅を10戸分建てる」とアナウンスしているので、要するにこの場所に建てる・・・ということが分かった。
現在建設中の町営住宅も、1棟で10戸の住宅が入っているので、つまり、これとまるまる同じ建物を隣にもう1棟建てて、そちらを「被災者専用」ということにするわけだ。
間取りも、おそらくほとんど同じ設計になるだろうから、「2LDK59.30㎡」ということになるだろう。
大昇地区に建設する20戸の復興住宅も、「家族向け」だというアナウンスがあるので、元町に建設される30戸の復興住宅は、すべて家族向け物件・・・ということは間違いなさそうだ。
右側が現在建設中の町営住宅で、左側の空きスペースが復興住宅の予定地だと思われる |
団地のすぐ裏手は砂防ダムと被災地だった!!!
ところで、現地に行って気がついたもうひとつ重要なことは、この町営団地のすぐ裏手は砂防ダムと被災地である・・・ということだ。
以前から、私は何度か、この家の上団地は三原山の斜面の直下に位置し、被災地にも近いため、こんなところに復興住宅を建ててしまって、本当に大丈夫なのか??安全なのか??・・・・と疑問を呈してきた。
だが、実際に現地に行ってみて、本当に今回の被災地とあまりに近かったので、改めて驚いた。
ちょっと裏手に歩いて行ったら、すぐに地面が崩れた景観が見えて、砂防ダムに行き当たった。
念の為、帰ってからGoogleマップで調べてみたら、実際に被災地とは100メートルほどしか離れていない!!!
これって、この場所まで土砂が押し寄せてしまっても、全然おかしくなかったってことじゃないだろうか???
今後も、万が一にも砂防ダムを土砂が乗り越えてしまったら、かなり危険な場所だと思う。
砂防ダムがあるから安全・・・・とか、本当にそれで良いのだろうか???
東京都の防災計画では、家の上団地から横100メートルに砂防ダムがあるものの、山側に上ったところには導流堤も何も計画されていない。
砂防ダムに流れるはずの土石流が、尾根を超えて家の上地区に流れ込んでくる可能性はないのだろうか???
今回、神達地区では、まさにそれと同じ「防災計画では砂防ダムに流れ込むはずだった土石流が、沢からあふれ尾根を超えて、神達地区を直撃する」という、いわゆる“想定外の事態”が起こったのだ。
町営住宅から裏手に100メートル入ると、すぐに被災地の光景が |
被災地側から見ると、この方向100メートルほど先に町営住宅がある |
本当にこの場所に復興住宅を建てて安全なのか???
この被災地のすぐ目と鼻の先にある場所に、これから移り住む被災者は、いったいどんな心持ちになるだろうか???
被災した元町2丁目・3丁目に今も住んでいる人々は、今でも雨が降るたびに、恐怖におののいているという。
だが・・・入居が決まったらまた当人に聞いてみるしかないだろうが・・・予測されるのは、この場所に住むことを承知の上で申し込むわけだから、そこまでの抵抗はないのかも知れない・・・ということだ。
実際に、この町営団地やその周辺には、今も普通に多くの住民が生活しているわけだし、仮設住宅に入る前に住んでいた避難住宅も被災地のエリア内にあったが、特に誰も不安を訴えはしなかった。
人間というのは、実際に土砂に呑まれたその場所でなければ、そこまで実感を持って危険を感じるわけではないのかも知れない。
元町地区というのは、今回たまたま被災した地域だけではなく、実際には全部が土砂災害の危険エリアなのだが、驚いたことに、被災して怖い思いをした人たちが皆、「これからも元町地区に住み続けたい」と口をそろえて言うのである。
仕事や知り合いや、およそ「生活基盤」と言えるものが、みな元町に集まっているから、災害の恐怖よりも、目の前の生活の必要性が先に立っているのである。
こうした空気を日頃から肌で感じているので分かるのだが、今回の町営住宅の募集にも、元町地区の復興住宅の募集にも、多くの被災者が殺到するであろう。
そして、ほとんどの人たちが、家の上団地の危険性については、ほとんど認識しようとしないだろう。
私自身について言えば、当初は被災地に土地を買って家を建てることを検討していたくらいなので、被災地に住むことはまったく怖くはない。
ただ・・・そうは言っても、私は状況を認識して安全性も自分で確認する自信があるのだが、他の被災者については「深く考えずに便利そうな場所に住む」という安易な認識でいるように思えてならない。
それなのに、行政の政策として、このような場所に被災者を住まわせていく・・・というのは、大いに問題があるのではないだろうか???
この問題については、改めて「元町を全面放棄して、北の山に集団移転すべきである」という意見を書く予定でいる。
また、週明けにも町役場に提出する予定の「公開質問状」でも、家の上団地の安全性を問うていくつもりでいる。
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最後に、データが重くて誠に申し訳ないが、空中写真で被災地との位置関係をご確認頂きたい。
真ん中の赤丸が家の上団地の敷地で、右上の台形を逆さまにした形のものが「砂防ダム」(堆積工)だが、この大きさで比べると、いかに近いかがよく分かるだろう。
なお、この写真(2013年10月17日・撮影)では下の方に「つばき小学校のグラウンド」が映っており、撤去されたガレキが仮置きされて積み上げられているのも確認できる。
なお、この写真(2013年10月17日・撮影)では下の方に「つばき小学校のグラウンド」が映っており、撤去されたガレキが仮置きされて積み上げられているのも確認できる。
真ん中の赤丸が、復興住宅が計画されている家の上団地(空中写真データ:国土地理院) |
元町よりも、北の山のほうが便利だと思うんですけど。
返信削除車があれば。
コメントありがとーでしーー!!!
削除私もそう思いますが、お年寄りとかペーパードライバーとか、車が運転できない人も割りと多いんですよね。
みんな元町で生活していた人ばっかですから、なかなか難しい問題だと思うでしー・・・。
もちろん、うちみたいに「北の山でも全然OK」「むしろ北の山大好き」という家もそこそこはあるでしょうが・・・皆さんの元町へのこだわりはかなり強いものがあるように感じます。